酒は人生の子守唄

バンクーバーで苦戦するアラサーのひとりごと

YOU ARE MY DESTINY

自慢ではないが、わたしは人見知りではない。

人見知りとそうでない人の違いは、幼いころに人見知りをして、それを大人たちに尊重されたかどうかではないかと思う。

 

恵まれたことに(?)わたしは関西出身で、年長者たちの強烈な個性にもまれて生きてきた。

親の後ろに隠れようものなら、回り込んででも引きずり出されて顔をみせろだの挨拶しろだの菓子を食えと言われてきた。人見知りなどしている暇がなかったのだ。

当時2ー3歳のイヤイヤ期のいとこが法事でしかあわない親戚のおばちゃんに抱きかかえられて大泣きをしたとき、「嬉し泣きか?!アハハハハハハ!」と大爆笑だったのには、地獄だなと幼心にも感じたものである。

一定数の関西人は 尊重する という意識は地球の核あたりで溶けて消え失せているので、人見知りをするとかえってえらい目にあってしまうだ。

そういう経験を繰り返しているうちに、「人にどう思われるかを考えて人見知りをしているほうが変に思われたり目立ってしまって恥ずかしい」という感覚を持つのではないだろうか。とわたしは思う。

 

ちなみに大人になる過程では、誰が面白さで目立つかの熾烈な生存競争がある。

一番面白いひとは体を張らねばならないので、あまり目立たずほのかにじわじわと面白いぐらいがちょうどいい。いくつかネタを持っておいて、小出しにするくらいがちょうどいい具合だ。ちなみに、持ちネタをいくつか持っておかないと 誰やっけ? の人となる。

 

そろそろ話を元に戻したい。

そう、この日は運命の出会いとなるシェアメイトとのファーストコンタクトだ。

第一印象は大事である。失敗は許されないとやや緊張しつつ階段を駆け下りる。

 

流ちょうな英語が聞こえてくる。デキル女だ。

すかさず挨拶をする。やや戸惑ったような表情。

それもそうだ。

「Hello! はじめましてぇ~」

とどっちで挨拶をしていいのかわからずルー大柴のような挨拶をしたのだ。

 

どうやらジェシー(仮名)は同い年で過去に留学経験があるとのこと。それで話せるのだということと、なんとかくかくしかじかでミドルネームもある。

わたしもエッジのきいたミドルネームがほしい。

 

彼女とはひとまず2か月この家で一緒に暮らす。

その後なんだかんだでずっとしゃべっていた。翌日とその次も休みだったため、学校への行き方を教えてもらったり、近くのスーパーで市場調査したり、学校周辺まで少し遠出して散策をした。

 

家の周辺にはミツバチのような小さくて愛らしいハチがハエの代わりに飛んでいる。

街路樹はメープルなので小さい子の手のような落ち葉がなんともかわいらしい。

ところ変わってダウンタウンは放尿と大麻のにおい。それからいたるところに浮浪者がいる。浮浪者たちは時折この世への不満を叫びながら、座り込んでいる。

こんなにも違うものかと、そしてここが世界有数の安全な国と言われるのかとショックをうけた。

他国に住んでみると日本の良さが身に染みて感じられるものである。

 

到着3日にして、不穏な空気がただよう。大丈夫か、いや、大丈夫にしなくてならない。住めば都。

かんばれ、わたし、まけるな。 今日はここまで。

 

**********

最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございます。